失踪宣告とは一体何?もし生きて帰ってきたらどうなるの?

失踪宣告を解説 失踪した人と離婚できる?遺産相続はどうなるの?


配偶者が数年間失踪している場合、もう離婚したものとして再婚したいとか、もう亡くなったものとして遺産相続を行いたい、と考える人はいるでしょう。


今回は、身内が失踪して年月が経ったときにできる、失踪宣告という手続きについて、実際に受理された場合、婚姻関係を遺産相続はどのような扱いになるのか、簡単に解説していきます。


失踪宣告についてお悩みの方は本記事をぜひ参考にしてみてください。


失踪宣告とは?


まずは失踪宣告とはなにか、その概要を確認していきましょう。


失踪宣告とは、一定期間以上行方がわからなくなっていて、生きているのか、死んでいるのかさえ不明な状況の人に対し、法律上、死亡したものとみなす効果を生じさせる制度のことです。


ですが、数ヶ月いなくなったから、といって失踪宣告ができる、というわけではありません。失踪宣告を受けるためには、以下の条件のいずれかを満たしておく必要があります。


  • 生死が7年以上不明(普通失踪)
  • 戦争・震災など、死亡の原因となる危機に遭遇し、その危機が去ったあと、生死が一年以上不明(特別失踪)

上記の要件を満たしている場合、不在者の従来の居住地の家庭裁判所に、失踪宣告を求める申し立てを行うことができます。


従来の居住地が不明な場合には、東京家庭裁判所に失踪宣告を申し立てることが可能です。
申し立てができるのは、配偶者・相続人・受遺者・財産管理人のいずれかになります。友人や恋人などの場合、いくら親しかった、といっても失踪宣告をすることはできません。


失踪宣告を申し立てる場合、費用が必要になります。といっても高額ではありません。収入印紙や失踪宣告の届出などを含めて、一万円以下で可能です。
申し立てが行われた後、調査が行われ、認められた場合には、行方不明者は失踪宣告を受けることになります。


失踪宣告後の婚姻関係、相続は?


さて、失踪宣告を受けたあと、行方不明者がは法律上死亡したことになるのは、先述した通りです。


法律上死亡したとみなすことができれば、「婚姻関係の解消・相続の開始・相続人からの除外・死亡保険金の請求」などを行うことが可能になります。


婚姻関係

まず、婚姻関係の解消から解説していきましょう。


通常、配偶者と離婚したいという場合、お互いに居所がわかっている状態であれば、協議など経て離婚届を役所に提出します。
では、配偶者が死亡した場合はどうでしょうか? この場合は、死亡に伴い婚姻関係は解消されます。


失踪宣告を受けた場合も、これに準じます。
失踪宣告を受けた対象者は死亡したとみなされるので、婚姻関係を終了させることができるのです。


相続

次に、相続の開始について見ていきましょう。


通常、亡くなった方の財産は法で定められた順位に従い相続されます。
失踪宣告がなされると、対象者は法律上死亡したものとみなされますから、同様に財産の相続を開始することが可能になります。


では、失踪している方が「相続する側」となる遺産分割協議が開始される場合はどうでしょうか。

この場合も、失踪宣告がなされれば、対象者は亡人だとみなされますから、相続人から外されることになります。
これは余談となりますが、失踪期間が短くて失踪宣告をすることができない、という場合には不在者財産管理人を選ぶことで相続手続きを進めることは可能です。


生命保険

配偶者が生命保険に加入していた場合についても、基本的な考え方は他と同様です。


失踪した期間中も「生命保険の掛け金を払い続けていた場合」は、失踪宣告を受け対象者が死亡した扱いになることで、保険金を受け取ることが可能となるのです。


失踪宣告後本人が発見された場合、婚姻関係や相続はどうなる?


次に気になるのは、失踪宣告をしたけれど、その後本人が発見された、という場合です。


失踪宣告後、本人が発見された。婚姻関係はどうなる?

失踪宣告を受けて死別扱いとなり、その後再婚していた場合は、いくら元配偶者が生きていたとわかっていたとしても、現状の婚姻情況が優先されます。


ですが、婚姻関係を取り消していただけで再婚していなかった、という場合には、自然と婚姻関係が復活することになります。


失踪宣告後、本人が発見された。相続はどうなる?

失踪宣告後、本人が発見された場合、相続はどうなるでしょうか。


相続を行った財産は、残っている範囲で返還することになります。

また、失踪宣告を行なった側が、実は相手が生きていると知っていたのに悪意をもって失踪宣告を行なっていたことなどが発覚した場合には、財産相続などについて再度見直しが行われる場合があります。


これらの失踪宣告取り扱い後の扱いについては、専門家の間でも取り扱いが分かれることがあり、個別のケースで判断する必要が大きいところのため、実際にそのような情況になった場合は専門家に相談するべきと言えます。


さいごに

今回は、失踪宣告と婚姻関係および遺産相続の関係について解説してきました。
失踪申告を行うのに複雑な手続きは不要です。


失踪期間が長引いている場合は、家庭裁判所に申し立てを行いましょう。方法がわからない、という場合は弁護士などの法律の専門家に相談しましょう。


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